歯の種類と構造、その仕組み
歯の役割とその仕組み
歯というのは言うまでもなく、私たちにとって大変重要な器官です。食べものを咀嚼するという、生きていくために欠かせない食事において大切な役目を担ってくれますし、歯があることによって舌や唇が正しい位置に安定するため、会話における発音を明瞭にしてくれるという役割もあります。また、白くて綺麗な歯は相手に好印象を与えますし、人と人のコミュニケーションにも大きく寄与しているのです。
また、歯というのは大人の歯である永久歯になると、基本となる28本に親知らずを加えて最大で32本になります。実は、これらの歯は一本失うだけでも正常な働きができません。奥歯が一本無くなってしまうだけでも、その仕組み上食べものの咀嚼など、ものを噛み砕く能率が40パーセント低下するともいわれています。このことからも、一本でも多く歯を健康に保つことはとても大切なことといえるでしょう。
歯とそれにまつわる組織の構造
歯というのはその構造を見ると、歯髄と呼ばれる歯の神経と、それを囲む象牙質とエナメル質からなります。口を開けたときに見える歯の白い部分がエナメル質で、実は人が持つ組織の中で最も硬い部分です。その歯を指示する組織の代表が歯ぐきとも呼ばれる歯肉であり、歯と頭蓋骨をつなぐ神経や血管を保護しています。歯はその歯肉の下にしっかりと根をはっていて、強く噛む力を私たちに与えてくれているわけです。
歯につく汚れ、歯垢と歯石
大切な器官である歯の健康を一本でも多く保つためには、歯につく汚れをしっかりと除去することです。歯につく汚れには歯垢と歯石があります。歯垢はプラークとも呼ばれ、ネバネバした細菌の塊です。歯垢は食後4~8時間で作られるため、毎食後の歯みがきで定期的に除去することが大切です。歯石とはその歯垢が硬くなったもので、歯みがきによって除去できなかった歯垢は二日間ほどで歯石へと変わります。いったん歯石となってしまうとブラッシングでは取れないため、歯医者に行って取り除いてもらう必要があります。
口の中と全身の健康
歯をはじめとする口の中の健康は、全身の健康にも深く関わっています。歯が悪くなり咀嚼の効率が落ちれば、食べものを細かく噛み砕けないことにより胃腸に負担がかかりますし、口の中を清潔に保つことで高齢者の誤嚥性肺炎やインフルエンザなど感染症の予防にもなるといわれています。また、歯が抜けることによる顔貌の変化や衛生管理を怠ったための口臭など、劣等感によって人前に出ることが消極的になったりと精神面に影響を与えるケースもあります。口の中の健康は、全身の健康であると共に人生を豊かにするためにも大切といえるかもしれません。